第27話【 新・江戸前の釣り/シーズン2「鯊釣り」-鯊竿に見る釣竿の分類について- 】


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海竿/川竿、竹/カーボン/グラス等素材の違いを問わず、構造/形態により釣竿は大きく3種類に分類出来ます。

① 延べ竿

材や長さを問わず、竿全体が一本で作られた竿
よく見られるのが、餌釣りで行う鱒釣り場での貸し竿です。
布袋竹一本もの(3m前後)を火入れをし溜めて真っ直ぐにして使います。道糸は直接布袋竹の先端に結びつけて使っています。
持ち運びには不便ですが、竹本来の調子を見ることが出来ます。
カーボン/グラスでは、鰹の一本釣りに使われるグラス(?)製の竿や、トローリングの竿にも延べ竿は見られます。

全長が4尺(120cm)前後までで、海釣りで使う竿を特に「水雷竿」と呼びます。
戦争用語で駆逐艦や巡洋艦が水面下の潜水艦を攻撃する方法として「水雷攻撃」というのがあります。昔の戦争映画でよくで出来ます。
火薬を入れ起爆装置をセットしたドラム缶状の物を、艦上から投げ入れ真下の潜水艦を攻撃するのです。これが「水雷竿」の語源のようです。船下の鯊を狙うという意味ですね。

② 振出し竿

現在製造されている釣竿の多くがこの形態のものです。
収納時は一本仕舞となり、嵩張らず、持ち運びに便利な竿です。
収納時の仕舞寸法は種類により異なりますが、各メーカーとも基本は江戸和竿の仕舞寸法に準じているようです。
川竿であれば、たなご竿、真鮒竿、渓流竿、万能竿等があり、海竿では長竿を中心に磯竿や投げ竿が作られています。
はぜ中通し竿においても振出し竿【江戸川はぜシリーズ】を取扱っております。

和竿では中々見られませんが、玉網の柄では振出しがよく作られています。
製作する竿師は少ないのですが、矢竹2本、3本振出しがあります。

③ 継竿

江戸和竿の多くがこの形態になります。
釣竿の原点は「延べ竿」ですが、持ち運びがしづらい、複数の異なる竹素材を使って調子を出したいとの要望から、「継竿」が生まれたものと思います。
この形態にすることで「延べ竿」とは違う継竿ならではの調子を先人たちは求めたものと思います。

継竿にすることにより、自然とその魚種にあった竿の仕舞寸法が決まってきます。
たなご竿で言うと。5寸/6寸切は脈竿、8寸/尺切はしもり竿、小鮒はタナゴと兼用で尺切と尺2寸、尺5寸、真鮒は尺5寸/尺8寸、手長えびは尺8寸/2尺切で数多く作られています。

カーボン/グラスでも振出しでは出せない調子を求めて、並継で竿を製作することがあります。
海の短い船リール竿の多くが、和竿に限らず多くのメーカーが並継/印籠継を採用しています。当店でもカーボン製はぜ中通し竿3本並継(深川はぜシリーズ)を取扱っております。
川のたなご竿(小石川おかめ) 、小鮒竿(小石川柿の種)も並継竿として製作し、並継ならではの調子を愉しむことが出来ます。
・鯊竿に見られる「手ばね竿」は継竿の一種です。 
・継方には「並継」と「印籠継」があります。まれに追継仕様には「逆印籠」と言う継方で対応します。