第6話【彼岸鯊釣り 其の弐】-総布袋竹鯊竿10尺一対竿について-


(7分30秒)

今回も、彼岸鯊釣りについての解説と店主が愛用している江戸和竿を紹介しています。
今回も、いろいろと竿に関する用語が出てきます。動画の途中に、テロップとして表示を出しますが、その意味については以下を参照ください。

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① 遊び竿
江戸和竿を竿師系統に関係なく分類した呼称で、必ずしも一般的に使われているものではありません。
多くの江戸和竿師(竿かづ/竿松/東甚/竿孝/竿幸/高一/竿治/俊行等)の竿を扱っていた先代店主が、江戸和竿を説明するときにその竿の仕様や特徴から、釣趣を重視する「遊び竿」と下町の釣り会に代表される数釣り重視の「競技竿」とに分けていました。
それを引き継ぎ、現在でもお客様に江戸和竿をご説明するときに、その違いを明確にするために使用しています。
先代の好みで、当店では竿かづに代表される「遊び竿」を中心に扱っております。

② 総布袋鯊竿
江戸和竿は穂先を除く、穂持ちから手元までの原竹で矢竹並継(印籠継)竿と総布袋印籠継竿に大きく分かれます。
鯊竿(3本継)の場合も、穂持ちと手元(袴は除く)に使われる原竹で、矢竹並継中通し竿と総布袋印籠継中通し竿に分けられますが、穂先はいずれも布袋竹を使うのがお作法です。
総布袋竿の多くは布袋根堀磨きや淡竹を手元材として使い、袴を付けます。

③ 淡竹根堀
淡竹を使った手元(袴)は淡竹手元、石突付淡竹手元、淡竹根堀手元の3種類です。
その中で淡竹根堀は地下に埋まっている棹茎部と棹柄部を掘り起こし、丸く形を整えて削り、本漆をかけたものです。
淡竹の入手は難しく、根堀となると更に貴重な原竹となり、高価になります。

④ 本象牙巻付糸巻
本象牙は、強度があり、見た目が美しく糸巻としては最適です。
本象牙の他に糸巻の材料としては、「黒水牛」「本象牙/黒水牛合わせ」「竹/本象牙合わせ」「竹/本鼈甲合わせ」等があり、胴やすげ口の塗りに合わせて、凝った作りのものがあります

⑤ 紫檀糸取り
糸取りは、鳩目の上や鳩目の手前に取り付けられる糸を通す穴が開いている小さな部材です。
糸巻と同じ素材を使ったり、糸を見やすくするために、糸巻とは敢えて異なる本象牙や紫檀等の白っぽい素材を使うこともあります。

⑥ 印籠継
TVドラマ「水戸黄門」でお馴染みのあの「印籠」で使われている継ぎ方を云います。
江戸和竿では、断面がアルファベットの「D」になっている布袋竹を繋ぐ方法として使われます。
継ぐ細い方の竹に丸い矢竹古竹の芯材(印籠芯)を差し込み、手元に近い太い竹の内側を丸く削り、継ぎます。
矢竹では並継が一般的ですが、印籠継ならではの調子を出す場合には矢竹でもこの継ぎ方は使われます。

⑦ 一対竿
調子、長さ、重さ、手元の太さを同じくした2本組の竿を一対竿と呼びます。
特に鯊釣りではこの同じ竿を使って、小気味よく互い違いに小突くのがお作法になっています。
更に見た目の形式美を求めて、手元から穂先まで2本の竿の節を揃えます。(「節揃え」と呼ばれています)
一対竿はあくまでも2本ですが、同じ仕様(塗り/材料)にして、長さ違いで3本以上をセットにしたものを「組竿」と呼びます。
鯊竿においても、水雷竿(延竿)/手ばね竿(2本継)/3本継竿の組竿や夏鯊用、彼岸鯊用、落ち鯊用と錘負荷を変えた水雷竿の組竿もあります。

⑧ 標準節
特に矢竹の標準的な節間の長さを云います。
手のひらを広げて小指の先と親指の先までの直線距離(約18cm前後)が矢竹の標準的な節間になります。
この標準的な節間より短いものを「小節」と呼び、珍重します。
しかしながら、どの竹も小節になるとテーパーがきつくなりますので江戸和竿の原竹としては使えなくなります。
見た目が美しい「小節」でスローテーパーで硬い竹、中々ありませんね!

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